2016.1.19

意外と知られていない挫滅症候群(クラッシュシンドローム)

みなさんこんにちは!

12月の暖かさが嘘のように寒いですね。先日は阪神淡路大震災から21年ということでトリアージについて紹介しましたが、今日はは震災で一般的になった挫滅症候群(クラッシュシンドローム)についてです。

 

 

 

 

 

クラッシュ症候群とは一言で言うと、「身体の一部が長時間挟まれるなどして圧迫され、その解放後に起こる様々な症候」のことです。

 

阪神・淡路大震災でがれきの下に埋まった状態から救出された人が数時後に、症状が急激にに悪化し、死亡した例が多数報告されています。記録によると372人が発症し、そのうち50人が亡くなっています。倒壊家屋の瓦礫や、倒れた重量家具の下敷きになるなど、長時間体を挟まれた人が、救出当初は比較的元気そうにもかかわらず、突然容態が悪化し亡くなってしまう事があります。これが、阪神淡路大震災以降、知られる様になったクラッシュ症候群です。

では、どういうメカニズムでそれが起こるのでしょうか?

震災の時、瓦礫などで筋肉が長時間圧迫されてしまうと、筋肉から毒性物質が発生します。

救出されて、瓦礫が取り除かれ、筋肉の圧迫が開放されると、その毒性物質が血流に乗って一気に全身に運ばれ、臓器に致命的な損害を及ぼし死亡に至る、という訳です。

 

では、クラッシュ症候群をどう見分ければいいのでしょうか?

一般市民でも容易にわかる兆候は以下の通りです。

・二時間以上挟まれている

・パンパンに腫れ点状出血

・尿が茶褐色に変化

・挟まれた部分の感覚がない

・挟まれた部分が動かない

このような方がおられたら、トリアージではレッドタグです。

もしこのような兆候が見られたら?

救出時から水分の補給は必ず必要です。一般の人にできることは、水分を飲ませることです。できればスポーツドリンクが良いですが、水かお茶でも良いでしょう。

急に倒壊物など体を圧迫しているものを取り除くと、血中の有害物質が全身へと流れ出してしまいますので、まず圧迫部位より心臓に近いところをタオルなど幅の広いものでしっかり縛ります。この時、動脈を止めてしまうほどきつく縛らないよう注意します。この処置をしてから、体を圧迫しているものをゆっくり取り除きます。

救出したら、透析できる施設にできるだけ早く運ぶ必要があります。病院に着いたら「クラッシュ症候群の疑い!」と伝えましょう。

 

当院の患者様にも、瓦礫の下で数時間埋まっていたと言う方が多数おられます。またほとんどの方が近隣の方に救出されています。幸いにも大きな筋肉を挟まれたと言う方はおられなかったですが皆様間一髪のところで助かった、死んでてもおかしくなかったと当時の話をしていただきます。

倒壊家屋が多数発生する都会型の大地震では、クラッシュ症候群対策が最大の問題です。災害現場での救出の主役は住民である可能性が高いです。実際阪神大震災では建物の下敷きの救出は80%を近隣の方が行っています。

ということは、一般市民である私たちが座滅症候群のことを知っているか否かで、無事救出された人がその後、助かるかどうかが明白になります。

いざという時のために心に留めておきましょう。

 

 

 

 

α六甲道整骨院 鍼灸院
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