みなさんこんにちは!
今回も前回に引き続き、ドーピングと漢方についてお話しします。
今回は特に、禁止薬物を含む漢方薬に注目し、どういった成分がどういう漢方薬に含まれているのか、ということについて見ていきたいと思います。
主に取り上げる生薬は、麻黄、陳皮、枳実、麻子仁、半夏の5つです。
①麻黄(まおう)
麻黄には、興奮作用のあるエフェドリンが含まれています。麻黄を含む漢方薬は以下のものがあります。
葛根湯、麻黄湯、麻杏甘石湯、麻杏薏甘湯、桂麻各半湯、小青竜湯、大青竜湯、麻黄附子細辛湯、麻黄附子甘草湯、麻黄加朮湯、越婢湯、越婢加朮湯、越婢加半夏湯、文蛤湯、射干麻黄湯、麻黄連軺赤小豆湯、五積散、痛散湯、雲仙錠 など
葛根湯などは、風邪気味の時によく処方されるので飲んだことのある方も多いかもしれません。
②陳皮(ちんぴ)
陳皮はみかんの皮ですが、禁止物質のシネフリンを含んでいます。陳皮を含む漢方薬は以下のものがあります。
五積散、清肺湯、釣藤散、二陳湯、補中益気湯、抑肝散加陳皮半夏、六君子湯 など
この中の五積散は、胃腸炎、腰痛、神経痛、関節痛、月経痛、頭痛、冷え性などの症状に効能がある漢方薬です。
③枳実(きじつ)
枳実も陳皮同様、ミカン科の植物の皮で、シネフリンを含みます。枳実を含む漢方薬は以下のものがあります。
荊芥連翹湯、五積散、四逆散、清上防風湯、大柴胡湯、大承気湯、麻子仁丸 など
例えば四逆散は、胆嚢炎、胃炎、神経症、ストレス、自律神経失調症の症状に対して使用されます。
④麻子仁(ましにん)
麻子仁は、大麻草の果実で、麻酔性成分であるカンナビノイドを含みます。麻子仁を含む漢方薬は以下のものがあります。
麻子仁丸(料)、潤腸丸、潤腸湯、炙甘草湯 など
⑤半夏(はんげ)
半夏は、麻黄ほどではありませんが、微量にエフェドリンが含まれていることがあります。半夏を含む漢方薬は以下のものがあります。
半夏厚朴湯、釣藤散、小青龍湯、二陳湯、二朮湯、大半夏湯、小半夏加茯苓湯、半夏瀉心湯 など
漢方薬は、様々な生薬を組み合わせて作られているので、その成分一つ一つを丁寧に調べていくのは大変な作業になります。ですが、「うっかりドーピング」を防ぐためにも、最低限処方された薬については薬剤師や登録販売者から説明を聞いたり、自分で調べたりするなど、きちんと知っておく必要があるでしょう。
日本国内のドーピング検査やドーピングに関する啓発活動をおこなっているのは、公益財団法人 日本アンチ・ドーピング機構です。
日本アンチ・ドーピング機構のWebサイトでは、ドーピング検査や薬について、分かりやすく解説されています。ご興味があれば参考にしてみてください。