みなさんこんにちは!
今日ご紹介するのは、「麻黄湯」です。
インフルエンザの薬としては「タミフル」や「リレンザ」が有名ですよね。しかしそのどちらも、「転落・飛び降り」などの異常行動や意識障害などの副作用が多数報告されており、子どもはもちろん、大人でさえも服用の不安が大きいという状況です。
インフルエンザは治したいけど、タミフルやリレンザを飲むのは少し不安…そんな方におすすめなのが、漢方の「麻黄湯」です。
〇麻黄湯ってなに?
麻黄湯は、次の4つの生薬から構成されています。
・麻黄
・桂皮
・甘草
・杏仁
麻黄・桂皮には強い発汗作用、甘草には発汗過多抑制作用、杏仁には咳や痰を抑える作用があります。
麻黄湯全体の効能としては、発汗作用があり、体の熱や腫れ、あるいは痛みを発散して治します。
〇インフルエンザに効果があるの?
2009年、福岡大病院が「麻黄湯」が「タミフル」並の効果があると発表しました。
以下、読売新聞と、社団法人日本東洋医学会からの引用です。インフルエンザの治療に漢方製剤の「麻黄湯(まおうとう)」を使うと、抗ウイルス薬のタミフルと同じ程度の症状軽減効果があるという研究結果を、福岡大病院の鍋島茂樹・総合診療部長らが明らかにした。新型インフルエンザへの効果は未確認だが、タミフルの聞かない耐性ウイルスも増える中、注目を集めそうだ。
日本感染症学会で4月に発表された鍋島部長らの研究は、昨年1月~4月に同病院を受診し、A型インフルエンザウイルスを検出した18~66歳の男女20人の同意を得て実施。うち8人はタミフル、12人は麻黄湯エキスを5日間処方した。ともに発症48時間以内に服用し、高熱が続く時は解熱剤を飲んでもらった。
服用開始から平熱に戻るまでの平均時間は、タミフルが20・0時間、麻黄湯が21・4時間でほとんど差がなかった。解熱剤の平均服用回数はタミフルの2・4回に比べ、麻黄湯は0・6回と少なくて済んだ。
麻黄湯のインフルエンザへの効能は以前から承認されており、健康保険で使える。
鍋島部長は「正確な効果の比較には大規模で厳密な研究が必要だが、タミフルは異常行動などへの懸念から10歳代への使用が原則中止されていることもあり、漢方薬という選択肢の存在は大きい」と話している。
(2009年5月8日 読売新聞)
基礎研究では麻黄に含まれるタンニン(エピカテキン)に塩酸アマンタジン類似のウイルス不活化作用のあることが明らかにされており、また桂皮のシンナムアルデヒドにはウイルス遺伝子転写後の蛋白合成の阻害による抗ウイルス 作用が明らかにされています。抗インフルエンザ薬とは作用点が異なります。
症例集積研究では、インフルエンザによる発熱などの諸症状の発現期間を短 縮することが報告されております。(インフルエンザに対する麻黄湯使用上の注意 社団法人日本東洋医学会 健康保険担当委員会)
2つの記事からわかるように、麻黄湯のインフルエンザへの効果は以前から承認されていたのですね。
特にタミフルが飲めない子どもにとっては、麻黄湯は大きな存在になると言えそうです。
しかし、インフルエンザになったから即麻黄湯、と考えるのは少し危険です。タミフルまではいかなくても、麻黄湯にも体質的に合わない人や、副作用があるからです。
〇服用するときの注意
次の人は服用を控えてください。
・身体がひどく弱っている方、発汗の多い方、胃腸の調子が悪い方。
身体がひどく弱っている方…副作用があらわれやすくなり、その症状が増強されるおそれがあります
発汗の多い方…発汗過多・全身脱力感・食欲不振・けいれん等があらわれることがあります。
胃腸の調子が悪い方…食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐などが現れることがあります。
日本東洋医学会でも、次のように言っています。
「麻黄湯は平素から体力があり、発熱しても汗が出ない患者さんが応となる方剤です。虚弱な患者さんや長期の不必要な連用では脱汗(過度の発汗によるショック状態)を来す危険性があります。患者さんの病態に応じて、他の処方(麻黄附子細辛湯、桂麻各半湯、葛根湯、桂枝湯、真武湯)などを適 切に選択することを日本東洋医学会として要請します。 (インフルエンザに対する麻黄湯使用上の注意 社団法人日本東洋医学会 健康保険担当委員会)」
インフルエンザだからすぐ麻黄湯!ではなく、きちんと漢方の専門家に相談してから服用することが大切です。
当院併設の薬店にも麻黄湯の他、風邪やインフルエンザに効果のある漢方がございますので、お気軽にお問合せください。