12月11日に、英ウィメンズクリニックで行われた子宝カウンセラーの会(統合医療生殖学会)に参加しましたので概要と感想をご報告します!
漢方薬と感染症について
医学博士の邵輝先生からは「漢方薬が性感染症を抑制する 妊娠へサポートをする」と題して、性感染症や妊娠に対する漢方薬の有効性についてお話がありました。
漢方薬は、江戸時代から梅毒の治療に用いられるなど、古くから性感染症の治療に効果を発揮してきたそうです。
性感染症の中には、妊娠を妨げる原因になるものもあることから、妊娠を意識する前から性感染症にかからないようにすること、また、早期に治療することが重要です。
先日も、「東北大学大学院の研究チームなどが、新型コロナウイルスの患者962人のデータを解析したところ、漢方薬の葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏を1日3回、発症から4日以内に服用した患者は、通常治療グループの患者より回復が早く、呼吸不全になるリスクを下げた」という結果が発表され、漢方薬の持つ力がますます注目されています。
今後も漢方薬の研究が進み、確かなエビデンスとともに漢方薬を提供できるようになることを願っています。
保険適用後の不妊治療について
英ウィメンズクリニックの苔口昭次院長からは、保険適用後の不妊治療についてお話がありました。
妊活を意識し始めたら早めの受診を
保険適用後、受診される方の年齢層は20~30代前半の方が増加したそうです。
保険適用により若い方がクリニックの門戸を叩くハードルが低くなったことがうかがえますね。
妊娠・出産はやはり年齢による影響が大きく、時間との勝負であることは否めません。
不妊治療では、最初の受診までに数年掛かっていることが多く、時間を有効に活用するためにも授かりたいと思ったら早めに受診することが重要です。
体外受精の成功率はそれほど高くない
1978年にイギリスで世界初の体外受精児が誕生して以来発展してきた体外受精の技術ですが、それでもなかなか妊娠に至らないカップルは多く、そんな時にステップダウンをしてタイミングや人工授精で授かるという例も少なくないそうです。
長く体外受精を行ってもなかなかうまくいかないという場合にステップダウンをするというのは難しい選択だとは思いますが、ある意味で神秘に満ちた「生命の誕生」を扱う不妊治療においては、あらゆる選択肢を排除せずに取り組むことが大事だとのことでした。
保険診療の課題
保険診療では貯卵ができないため、複数個採卵できても1個しか残せず、グレードの低いものは破棄となります。
ただし、卵の優劣は見た目だけの問題であり、遺伝子検査をしているわけではないため必ずしもグレードの高いものが染色体のエラーがないという保証はありません。
そして、着床前検査は保険適用対象外のため、保険適用の範囲内で良好胚を判断する手段は見た目によるグレードしかありません。
また、保険診療では使用できる薬剤の種類や量が限られます。
例えば、排卵誘発剤は海外のものが使用できず、日本での承認薬だけになります。
そのため承認薬に需要が集中し、品薄になっていたり、海外製の誘発剤よりも一度にはるかに多く、何錠も飲まなければならなかったりと、医療現場や患者さんにとっては不都合な部分もあるようです。
不妊治療の保険診療の適用範囲拡大については、徐々に課題が浮き彫りになってきているところですが、最近では保険診療と併用して自費で行うことのできる先進医療が告示されるなど少しずつ見直しも行われています。
今後も新しい家族を望むすべての人にとってより良い方向へと進んでいくといいですね。