体外受精で得られた受精卵の全染色体を調べる「着床前検査」について、日本産婦人科学会が条件付きで実施を容認する方針を示しました。
妊娠率を高め、流産も回避できる効果が期待できる一方で、病気や障害をもつ人の差別につながりかねないとの倫理的な課題は残っています。
■□■着床前検査の方法と効果■□■
着床前検査は、先述したように体外受精でできた受精卵の染色体を調べ、異常のないものを選んで子宮に戻すことで、妊娠・出産率の向上が期待されています。
実際に33歳から6回にわたり体外受精に挑み、妊娠ができなかった女性が独自に医療機関で検査を行い、正常な受精卵を選択したことで妊娠、出産できたという例も存在します。
今年9月に、夫婦薬4300組を対象とした臨床研究の中間解析で、正常な受精卵を子宮に戻した人の妊娠率は66%、流産率は10%と報告されています。
(一般的な体外受精データ:妊娠率35%前後、流産率20~30%)
この研究結果を踏まえ、日本産婦人科学会は着床前検査を条件付きで容認することとなりました。
検査の対象患者や実施できる医療機関の条件など、詳細については年明けに定める方針です。
■□■検査の対象者(現段階の案)■□■
①体外受精で2回以上の失敗
②流産を2回以上経験
③夫婦のどちらかに染色体の構造に異常がある
のいずれかを要件とする案を軸に検討されます。
実施医療機関は認定制とし、専門医がいるなど一定の基準を満たしたうえで、検査実績も報告させ、質を担保します。