凍結胚移植のように数年にまたぐ治療を受ける場合、保険適用の範囲が分かりにくいですよね。
今回は胚凍結に関する内容をQ&A形式でまとめました。
Q1. 凍結胚は何年間保存できますか?
A1. 保険適用による保存は3年間できます。
4年目以降の保存は自己負担となります。
ただし、保険適用は43歳に達するまでなので、保存期間中に43歳になると保険は適用されなくなります。
また、クリニックによって凍結胚の保管期間に違いがあり、1年や2年など保険適用期間より短い設定をしている施設や、5年など長く設定しているクリニックもありますのでよくご確認ください。
Q2. 保険適用前に胚凍結をしていた場合はどうなりますか?
A2. 2022年3月以前に胚凍結をしていた場合、現在は保険を適用した胚移植に切り替えることができます。
ただし、保険に切り替えた場合、使用薬剤が限定されるなど、制限事項が生じますので医師の説明を聞いてご理解いただくことが重要です。
Q3. 43歳までに凍結した胚を43歳に達してから保険適用で移植できますか?
A3. 保険適用で移植することはできません。
保険期間に凍結された胚であっても、43歳に達してしまった場合は自費での移植となります。
Q4. 採卵を自費で行い、胚移植を保険適用で行うという選択は可能ですか?
A4. 基本的にはできません。
保険診療では【採卵から胚移植までの一連の治療】が保険適用となります。
逆に、保険適用で採卵してできた胚を自費で移植することも原則不可能です。
Q5. 自費で胚移植した場合は、保険適用での胚移植回数のカウントに含まれますか?
A5. 含まれません。自費での胚移植については保険回数にカウントしません。
Q6.妊孕性温存療法で凍結した卵子(精子)を用いた不妊治療は保険適用になりますか?
A6. 「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」における支援制度を活用します。
がんの治療を行うことで、卵巣や精巣などの生殖機能に影響を及ぼし妊娠するための力が弱まったり、失われたりすることがあります。将来自分の子どもをもつ可能性を残すために卵子や精子、受精卵を凍結する「妊孕性温存」という選択肢があります。
この場合、その後の温存後不妊治療を実施した場合も保険適用とはならず、 「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」を活用することになります。